「新築の家ならシロアリの心配はない」と思っていませんか?
実は、新築住宅でもシロアリ被害に遭うことは珍しくありません。日本長期住宅メンテナンス有限責任事業組合の調査では、調査対象住宅の約18.9%がシロアリの被害を受けていたことが報告されています。特に、湿気がたまりやすい床下や玄関まわりは、被害の発生率が高くなっています。
新築住宅がシロアリに弱い理由には、使われる木材の種類や乾燥方法、防蟻処理の有無が大きく関係しています。さらに、シロアリは湿気を好むため、通気が悪い場所や防蟻処理が十分でない家では、短期間で被害が広がることもあります。
本記事では、新築住宅がシロアリに弱い理由と、事前にできる対策をわかりやすく解説します。この記事を読めば、シロアリのリスクを理解し、大切な住まいを守るために必要な対策がわかります。
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新築でもシロアリ対策は必要です。
知らないと被害を受けるリスクがあるため、事前に対策を確認しましょう。
- 新築住宅がシロアリに弱い理由
使われる木材や施工方法の問題点を詳しく解説 - シロアリ被害を防ぐための具体的な対策
建築時に取り入れるべき工法や注意点を紹介 - 入居後にできるシロアリ対策
日常的に気をつけるポイントや定期点検の重要性
新築住宅がシロアリに弱い3つの理由
新築住宅がシロアリの被害を受けやすい理由には、木材の種類・乾燥方法・基礎構造の3つの要因があります。それぞれの要因を詳しく解説します。
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新築でもシロアリのリスクはあります。
木材の種類や施工方法によって、被害を受けやすい家になってしまうこともあります。
シロアリに弱い木材が使われている
新築住宅にはホワイトウッドやレッドウッドといった木材が多く使われています。
これらは価格が安く加工しやすい一方で、シロアリに弱く、日本の気候には適していません。
では、なぜハウスメーカーはこれらの木材を採用するのでしょうか? また、シロアリに強い木材は何か、詳しく見ていきましょう。
ホワイトウッド・レッドウッドの問題点
現在、多くのハウスメーカーではホワイトウッド(欧州トウヒ)やレッドウッド(欧州アカマツ)が建築用木材として使用されています。これらの木材は以下のような特性を持っています。
- ホワイトウッド:白くて木目が薄く、加工しやすいが、耐久性が低い
- レッドウッド:赤みがあり粘り強いが、湿気に弱く腐食しやすい
ホワイトウッドとレッドウッドはともにシロアリに対する耐性が低く、日本の高温多湿な環境には適していません。
北欧などの寒冷地で育った木材のため、シロアリの生息しない地域での使用を前提としています。そのため、日本の環境では防腐・防蟻処理をしないと、短期間で劣化する可能性があります。
なぜハウスメーカーはこの木材を使うのか?(コストの問題)
ハウスメーカーがホワイトウッドやレッドウッドを採用する主な理由は、コストと供給の安定性にあります。
- 安価で大量供給が可能:ホワイトウッドやレッドウッドは成長が早く、価格が安いため、大量生産の住宅建築に適している。
- 加工しやすい:木目が均一で、プレカット加工がしやすく、建築工程の効率化につながる。
- 乾燥が容易:人工乾燥が可能なため、供給の安定性が高い。
しかし、シロアリに弱いだけでなく、湿気やカビにも弱いため、定期的なメンテナンスや防蟻処理が必要になります。
シロアリに強い木材(杉・ヒノキ)との比較
一方で、国産の杉やヒノキは、シロアリに強いとされています。その理由は以下のとおりです。
木材の種類 | シロアリ耐性 | 耐久性 | コスト |
---|---|---|---|
ホワイトウッド | 弱い | 低い | 安価 |
レッドウッド | 弱い | 低い | 安価 |
杉 | 強い | 高い | 中価格 |
ヒノキ | 非常に強い | 高い | 高価格 |
杉やヒノキには、シロアリを寄せ付けにくい「フィトンチッド」などの天然成分が含まれており、防蟻処理をしなくても比較的耐性があります。しかし、成長が遅く供給が限られるため、価格が高くなる傾向にあります。そのため、多くのハウスメーカーでは採用が難しいのが現状です。
人工乾燥によって木材の耐久性が低下する
木材は乾燥させることで強度が増しますが、高温で急速に乾燥させると、シロアリが嫌う油分まで抜けてしまうことがあります。
その結果、木材の耐久性が下がり、シロアリが侵食しやすい状態になってしまうのです。では、自然乾燥と人工乾燥ではどのような違いがあるのか? 木材の乾燥方法とシロアリへの影響について解説します。
高温乾燥の影響で木の油分が失われる
木材を建築資材として使用するためには、適度な含水率に調整する必要があります。そこで、多くのハウスメーカーは「人工乾燥(高温乾燥)」を採用しています。
人工乾燥とは?
●大きな乾燥窯で木材を高温(80~120℃)で急速に乾燥させる方法。
●短期間で乾燥が完了するため、大量生産に向いている。
しかし、この高温乾燥の過程で、木材に含まれる天然の油分や樹脂成分も一緒に蒸発してしまうため、以下の問題が発生します。
- シロアリが嫌う成分(樹脂や精油)が失われる
- 乾燥しすぎて木材のひび割れが起こる
- 水分を吸収しやすくなり、湿気に弱くなる
つまり、人工乾燥された木材は、シロアリにとって好ましい条件が揃った状態になりやすいのです。
乾燥方法の違いとシロアリへの影響
木材の乾燥方法には、以下の2種類があります。
乾燥方法 | 特徴 | シロアリへの耐性 | コスト |
---|---|---|---|
人工乾燥(高温乾燥) | 短期間で乾燥できるが、油分が抜けやすい | 弱い | 低い |
自然乾燥 | 数年かけてゆっくり乾燥し、油分が残る | 強い | 高い |
自然乾燥の木材は油分が残り、耐久性が高いため、シロアリに強いとされています。しかし、乾燥に時間がかかり、流通量が限られるため、ハウスメーカーではほとんど採用されていません。
基礎や構造の問題
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「ベタ基礎なら安心」と思われがちですが、実はベタ基礎でもシロアリは侵入します。
また、最近増えている基礎断熱工法は、床下が暖かくなるため、シロアリが繁殖しやすくなるリスクもあります。
では、シロアリが侵入しやすい基礎の特徴や、具体的な侵入経路を詳しく見ていきましょう。
ベタ基礎でもシロアリは侵入する
「ベタ基礎はシロアリ対策になる」と言われることがありますが、完全にシロアリを防げるわけではありません。
- 基礎と土台の継ぎ目:コンクリートの収縮による微細な隙間から侵入する可能性がある。
- ひび割れ:施工不良や経年劣化により、シロアリが侵入できる亀裂が発生することがある。
ベタ基礎はシロアリを直接防ぐものではなく、あくまで床下の湿気対策が主な目的です。そのため、適切な防蟻処理や定期点検が必要になります。
基礎断熱はシロアリの温床になりやすい
最近の住宅では、「基礎断熱工法」を採用するケースが増えています。しかし、この基礎断熱が逆にシロアリのリスクを高める可能性があります。
- 断熱材がシロアリのエサになる(特に発泡系の断熱材)
- 基礎内が暖かくなり、シロアリが繁殖しやすくなる
- 床下の点検がしづらく、発見が遅れる
侵入経路(配管・継ぎ目・玄関ポーチ)
シロアリはわずかな隙間から侵入するため、特に注意すべき箇所は以下のとおりです。
- 配管周り:水道や排水管の隙間はシロアリの侵入経路になりやすい。
- 基礎の継ぎ目:コンクリートと木材の接合部分はシロアリが狙いやすい。
- 玄関ポーチ:床下からの侵入経路が確保されやすいため、被害のリスクが高い。
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新築時にできるシロアリ対策
新築住宅を建てる際、シロアリ被害を未然に防ぐためには、適切な防蟻対策を建築段階で施すことが重要です。
シロアリ対策は後から行うよりも、施工時に組み込むほうが効果的でコストも抑えられます。
ここでは、新築時にできる具体的なシロアリ対策について解説します。
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建築時の防蟻シートやシーリング処理が、シロアリ被害を防ぐ鍵になります。
湿気対策も重要です。
防蟻防湿シートの活用
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基礎下に防蟻防湿シートを施工することで、シロアリの侵入を防ぐことができます。
これは、物理的なバリアとしての役割を果たし、地中からのシロアリの侵入を阻止するための基本的な対策のひとつです。
【防蟻防湿シートのメリット】
●シロアリの侵入経路を遮断し、物理的に防御できる
●地面からの湿気を抑え、木材の腐朽を防ぐ(湿った木材はシロアリの格好のエサになる)
●メンテナンスの手間が少なく、長期間効果を発揮
防蟻防湿シートは種類が多いため、適切な製品を選ぶことが大切です。特に推奨されるものは、以下の特徴を持つシートです。
- ピレスロイド系防蟻シート:シロアリが嫌う成分を含んでおり、長期間の防蟻効果が期待できる。
- 厚み0.18mm以上の高耐久シート:薄すぎるシートは破れやすく、防蟻効果が低下するため、0.18mm以上の耐久性の高いものを選ぶのが理想。
【施工時の注意点】
●シートの重なり部分は20cm以上確保し、隙間ができないように施工する。
●シートの端は基礎の立ち上がり部分にしっかり固定し、ズレを防ぐ。
●配管まわりの貫通部分も防蟻シールで密閉する。
建築時のシーリング処理
シロアリはわずかな隙間からでも侵入します。そのため、新築時の施工段階で配管周りや基礎の継ぎ目をシーリング処理することが重要です。
シーリング処理のポイント
- 配管周りの隙間をシーリング材で塞ぐ
- 給排水管や電気配線の通る部分は、シロアリが侵入しやすい経路になるため、隙間を完全に埋めることが重要。
- 基礎の継ぎ目(打ち継ぎ部分)を防蟻処理する
- コンクリート基礎は一体化しているように見えますが、打ち継ぎ部分には微細な隙間が生じるため、ここからシロアリが侵入する可能性がある。
- 防蟻剤入りのシーリング材を使用することで、より効果的に侵入を防げる。
【防蟻シーリング材の選び方】
●防蟻剤入りシリコンシーリング:シロアリを寄せ付けない成分が含まれており、耐久性も高い。
●弾性があり、経年劣化しにくいもの:固くなりすぎるとひび割れが生じ、そこからシロアリが侵入するリスクがある。
【施工時の注意点】
すべての貫通部をシーリング処理する(給排水管、電気配線、エアコンの配管など)。
シーリング材の劣化を定期的に点検し、必要に応じて補修する。
床下換気を強化
湿気の多い環境はシロアリを引き寄せるため、新築時に床下の換気を強化することが非常に重要です
床下の湿度を適切に管理することで、シロアリの発生リスクを低減できます。
【床下換気を強化するメリット】
●木材の乾燥状態を保ち、シロアリが寄り付きにくくなる
●カビや腐朽菌の発生を抑え、建物の耐久性を向上させる
●結露の発生を防ぎ、家全体の健康を維持する
床下換気を強化する方法
- 基礎パッキン工法の採用
- 従来の「基礎に換気口を設ける方法」よりも、床下全体の通気性が高くなるため、換気効率が良い。
- 換気口に頼らず、基礎全体で均等に空気を流せるのがメリット。
- 床下換気扇の設置
- 風通しの悪い床下では、換気扇を設置することで強制的に空気を循環させることが可能。
- 湿気がこもりやすいエリア(北側や風通しの悪い場所)に設置すると効果的。
【施工時の注意点】
●基礎換気口は十分な数を確保し、空気の流れが偏らないようにする。
●床下換気扇を設置する場合は、換気方向や風の流れを考慮して配置する。
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入居後にできるシロアリ対策
新築時にしっかりと防蟻対策をしても、入居後の管理が不十分だとシロアリのリスクは高まります。
シロアリは目に見えない場所で静かに被害を広げるため、日常的な点検や環境管理が重要です。
ここでは、入居後にできる具体的なシロアリ対策を紹介します。
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定期点検と環境管理がシロアリ対策の基本です。
日常の注意で被害を防ぐことができます。
定期的な点検を行う
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シロアリ被害を防ぐには、異変を早期に発見することが重要です。特に、床下や基礎部分は見えにくいため、定期的なチェックを心がけましょう。
自分で確認できるポイントとして、基礎の表面に土のような筋(蟻道)ができていないか、家の周囲で羽アリを見かけないか、床が軋んだり沈む感じがしないかをチェックするとよいでしょう。
とはいえ、シロアリ被害は専門知識がないと気づきにくいものです。
5年に1回は専門業者による点検を受けることをおすすめします。
ハウスメーカーやシロアリ防除業者では、無料点検を実施していることが多いので、積極的に活用しましょう。
家の周囲にシロアリの餌を置かない
シロアリは木材だけでなく、紙類などにも集まります。
家の近くに木材の廃材や段ボール、新聞紙を長期間放置しないようにしましょう。
また、ウッドデッキや枕木などの木製部分は、湿気を含むとシロアリの格好の餌場になるため、防腐・防蟻処理を施し、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
シロアリ保証の活用
新築住宅には防蟻処理が施されており、多くの場合5年間のシロアリ保証がついています。ただし、保証期間が過ぎると補償が受けられなくなるため、継続的な保証の活用も検討しましょう。
一部の業者では10年保証に延長できるプランも用意されています。保証を延長することで、定期的な点検や再処理を含めたメンテナンスを受けられるため、被害を未然に防ぐことができます。
保証を利用する際は、再発時の対応や修繕費用がカバーされるかどうかを確認し、適切なプランを選ぶようにしましょう。
まとめ
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新築時と入居後の対策を組み合わせることで、シロアリのリスクを大幅に減らせます。
新築住宅でもシロアリ被害のリスクがある理由は、シロアリに弱い木材が使われていること、人工乾燥による木材の耐久性低下、基礎や構造の問題で侵入経路があることが挙げられます。これらの要因が重なることで、新築であっても安心できないのが実情です。
被害を防ぐためには、防蟻防湿シートの施工、建築時のシーリング処理、床下換気の強化といった新築時の対策に加え、定期的な点検の実施や家の周囲に木材を放置しないことが重要です。
これらの対策を実施すれば、シロアリ被害のリスクを大幅に減らせます。まずは自宅のシロアリ対策を確認し、不安があれば専門業者に相談することをおすすめします。
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